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キナバル山登頂記

矢野 政顕

 マレーシアのボルネオ島サバ州に聳える高峰キナバル山は、花崗片麻岩の台地上に数多くの岩峰を有する山であり、その最高峰は標高4,095.2mのローズ・ピークと呼ばれる岩峰である。2000年12月に認定されたマレーシア最初の世界遺産である。因みに最高峰のローズ・ピークは、1851年に最初に登ったイギリス人プラントハンターであるヒュー・ロー卿に由来するものである。なお日本人では昭和17年10月5日に登った陸軍の山口少尉が最初であるとか。

 2015年6月5日午前7時15分、サバ州の州都コタキナバルの近くでマグニチュード5.9の地震が発生した。この地震によりキナバル山では土砂崩れが発生し、その後の豪雨により土石流や地滑りも発生したとのことである。また、岩石の落下、落石により18名(内1名は日本人)が死亡、11名が負傷したと伝えられている。

 現在禁止されているキナバル登山は9月から再開されるとのことであるが、修復された登山路だけでなく、新しくつけ変えられた登山路もあるようである。またレストハウス、シェルターなどの被害も大きく、現在修復中とのことである。ここに記載するのは2012年2月に登頂したときの様子であり、登山再開後の風景はこの写真と異なってくるだろうと思われる。

 キナバル山への登山は宿泊施設などの関係で1日150名に限られている。私は日本から登山ツアーに参加したので、主催する旅行会社が申請手続きを行ってくれた。登山の初日に公園管理事務所から入山バッジを受け取り、そのバッジを首からぶら下げて登山することになっている。また、キナバル山には地元のドウスン族のガイドの案内で登ることが義務づけられている。

 
(第1日) 
 6時30分にコタキナバルのホテルを出発して、マイクロバスでキナバル公園管理事務所(標高1,563m)へ向かった。9時に公園管理事務所に到着し、現地日本語ガイドが登山手続きを行った。ここで登山ガイド、ポーターと合流した。ここからは日本から登山ツアーに参加した5名、現地日本語ガイド、登山ガイド、ポーターの8名で行動を共にすることになった。

 公園管理事務所から登山口のティンポホン・ゲート(標高1,866m)まではマイクロでバスで移動した。9時30分、入山証のチェックを受けていよいよ登山開始となる。登山ルートの途中には休憩、食事に利用できシェルターがほぼ1Km毎に設置されている。

 
公園管理事務所から見たキナバル山

 
登山の間中、首に下げる入山バッジ

 
9時30分ティンポホン・ゲートに到着

 
ティンポホン・ゲートには第25回(2011年)
「キナバル山クライマソン」の成績が掲示されて
いた。クライマソンは頂上まで往復する
山岳マラソンで、トップはなんと2時間30分。
なお今年の第29回は地震のため中止とのこと。

 
登山道脇に咲くラン。公園内には1,200種あるとか。

 
ウツボカヅラの仲間

 
登山道途中に設けられたシェルターの一つ

 
15時25分ラバン・ラタ・レストハウス(標高3,272m)に
到着。このレストハウスも今回の地震で大きな被害を
受けたとのことである。

      
(第2日) 
 2時25分にラバン・ラタ・レストハウスを出発してキナバル山の最高峰ローズ・ピークに向かった。ヘッドランプを頼りに登る。4時過ぎにサヤ・サヤ・ハット(標高3,653m、登山口から7Km)に到着、入山証のチェックを受けた。6時にローズ・ピーク(標高4,095.2m、登山口から8.7Km)に到着。ご来光を待って記念撮影し、6時40分下山を開始した。9時20分に無事ラバン・ラタ・レストハウスに戻り、この日はレストハウスでくつろいだ。
     

2時25分頂上を目指してレストハウスを出発

 
 
4時5分サヤ・サヤ・ハットに到着、登山者名簿との
照合を受けた。ここにはルート最後のトイレがある。
外観は粗末だが、なんと水洗で、汚水は山麓の処理
施設まで下水管で流しているとのことであったが、
今回の地震で下水管も破壊されたことだろう。

 
キナバル山の最高峰ローズ・ピークが見えてきた。

 
ローズ・ピーク直下の標識。登山口から8.5Km。
標高4,008m。頂上まで後標高差90m足らず。

 
6時20分にローズ・ピークでご来光

 
ご来光!

 
ブロッケン現象

 
頂上での記念撮影。ローズ・ピークの頂上は岩の積み
重なりでできており非常に狭い。記念撮影は順番待ち。

 
ローズ・ピークの反対側は深い谷になっている。

 
ローズ・ピーク下から見たセント・ジョーンズ・ピーク
(標高4,090.7m)


 池に映るセント・ジョーンズ・ピーク

 
キナバル山の特徴である花崗岩の台地を下って行く。
足下のロープは霧の時迷わないための道標。

 
右前方の峰はサウス・ピーク(標高3,921.5m)

 
キナバル山の象徴ドンキー・イヤーズ(ロバの耳)ピーク
(標高4,054m)。今回の地震で左側の岩峰が崩落した。

 
サバ州の観光・文化・環境相提供による
ドンキー・イヤーズ・ピークの崩壊前後の写真。

 
ヴィア・フェラータのローズ・ピーク・コース集合場所。
ヴィア・フェラータはヨーロッパ生まれの岩稜ハイキング。


暗闇の中で通過したサヤ・サヤ・ハットを8時過ぎに通過。

 
 
右前方下にラバン・ラタ・レストハウスが見える。

 
登りは暗闇の中だったロックフェース。この辺りは
地震によるダメージが大きかったとのことである。

 
下山は慎重に。


登頂を果たした後はレストハウスの中でくつろぐ。

 
 
レストハウスからの夕陽

 

(第3日)
 
 早朝6時に雨の中を下山開始。1時間半ほど下った途中から登りのルートと分かれてマシラウ・ルートに入る。マシラウ・ルートを6Kmほど歩いて、12時にマシラウ・ゲート(標高2,000m)に到着し、この日はマシラウ・リゾートでくつろいだ。なおマシラウ・リゾートは今回の地震による土石流で、橋、道路が流されてしまい、アクセス手段がなくなったため、再開の目処がたっていないとのことである。したがってキナバル登山再開後もマシラウ・ルートはしばらく閉鎖されるだろう。
   

下山の途中からマシラウ・ルートに入る。マシラウ・ルートに
入ったところは地震による被害が大きかったとのことである。

 
 
道筋に咲いていたラン

 
雨の止み間にやっと見えたキナバル山。

 
マシラウ・ゲートでガイド、ポーターと一緒に記念撮影。


(第4日) 
 マシラウ・リゾートをマイクロバスで出発し、初日に訪れたキナバル公園管理事務所に向かった。事務所で通常の登頂証明書と、マシラウ・ルートの踏破証明書を受けとった。

 
マイクロバスの中から見たキナバル山

 

キナバル公園管理事務所


 キナバル山登頂証明書

(2015年7月6日記)
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