ニュージランド トレッキング記(1)
(フッカーバレートラックとミルフォードトラック)
矢野 政顕
2012年と2014年にニュージランド南島のトレッキングに出掛けてきた。2012年にはアオラキ(マウントクック)国立公園のフッカーバレートラックと、ミルフォードトラックを歩き、2014年にはグランドトラバース(グリンスト−ントラックとルートバーントラック)を歩いた。トレッキングの時期はいずれも日本の春(現地の初秋)で花の季節からは外れていたが、ニュージランドの豊かな自然を楽しむことができた。トレッキング記(1)でフッカーバレートラックとミルフォードトラックについて、トレッキング記(2)でグランドトラバースについて記す。
フッカー バレー トラック (Hooker Valay Track)
ニュージランド最高峰であり、標高3,754mのアオラキ(Aorak)/マウントクック(Mt. Cook)の周辺には数多くのウオーキング トラックがある。その中のフッカーバレートラックを、次に述べるミルフォードトラックを歩く前の足慣らしの積もりで歩いた。このルートはスタート地点から約2時間でフッカーバレー氷河湖に到達できる。道はさらに氷河上部へと続いているそうだが、落石があり危険とのこと。
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アルパイン記念碑(後方はアオラキ)
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山の上部に白く見える氷河
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途中で吊り橋を何度か渡る
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アオラキはニュージランド最高峰
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氷河湖に到着
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氷河の末端
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湖に浮かぶ氷河の欠片
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夕日に映えるアオラキ頂上
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ミルフォード トラック (Milford Track)
全長54Km(33.5マイル)を3泊4日で歩くトレッキングコース。「世界一美しい散歩道」と言われている。このトラックは一方通行で、スタート地点、ゴール地点ともボートでしかアクセスできない。途中で他のトレッキングコースと交わることもない。
このルートの歩き方にはガイド付ウオーク(Guided walk)と、個人ウオーク(Individual walk)の二通りがある。ガイド付きウオークは民間会社が運営しており、1日50名限定で1年前から予約募集している。宿泊する小屋はホテル並みであり、全食事付き、乾燥室、温水シャワーなどの設備が整っており、数は少ないが個室も備えている。私たち夫婦は直接現地の会社に手続きをとってガイド付きウオークに参加した。
ガイド付きウオークは11月の初めから毎日最大50名で途切れることなく出発する。したがって山小屋では天気が悪いからと言って滞留することは許されない。どんなに天気が悪くても次の山小屋まで歩かねばならない。年間降雨量が8,000mmと言われているところだから雨の中を歩くことは想定内のことである。日本の旅行会社が募集しているミルフォードトラックツアーは、添乗員も含めて50名の中に組み込まれる。私たちが参加したグループはシーズンの149番目であった。
この50名のグループにガイドが3名(参加者が少ない日は2名)つく。ガイドの内1名は先頭を歩き、1名は最後尾と一緒に歩く。参加者は各自自分のペースで自由に歩いて良い。しかも全員が同じ方向に歩いているためほとんど人に会わない。日本の登山ツアーで見られるような全員揃って隊列を組んで歩く方式ではないので、我妻は非常に気に入ったようである。
一方、個人ウオークは1日40名で、政府の国立公園管理局(DOC)が管理する小屋に宿泊することになる。費用は格安であるが、小屋に備わっているのは炊事場とベッド(マット付き)のみであるから、全行程の食事と寝袋を持参しなければならない。若い人向きと言えよう。
(第1日)
クインズタウン(Qeenstown)からテアナウ(TeAnau)までバスで移動。私たち夫婦と一緒のトレッキング客はアメリカ人の母娘の二人づれとオーストラリアから来た年配の男性1名であり、これに女性のガイドが2名ついた。50名以上乗れる大型バスでは席が有り余る状態だった。トレッキング客がこんなに少ないのは、出発日が料金の高いハイシーズンの最後に近い時期(3月28日)だっため。4月1日から参加費の安いローシーズンに入るためこの日のトレッキング客は50名だということを最終日に行き違いになったバスを見て分かった。
テアナウダウンズでバスを降り、個人ウオークの人たちと一緒にクルーズ船に乗ってテアナウ湖を渡り、ミルフォードトラックのスタート地点に到着した。乗船時間は1時間15分。クルーズ船の船着き場から第1日の宿泊先であるグレードハウスまでは1.2Km約20分であった。到着時間が早かったので、お茶を飲んだ後はガイドの案内で付近を散策。
私たちが乗ってきたバスはそのままミルフォードサウンド(トレッキングの最終宿泊地)まで行き、トレッキングを終わった人たちを明朝乗せて来ることになっている。また、私たちが最終日に必要な靴、上着などの衣類をミルフォードサウンドの宿まで届けてくれることにもなっている。
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テアナウダウンからクルーズ船に乗船
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ミルフォードトラックの出発点で記念ショット
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1日目の宿泊先はグレードハウス
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グレードハウス(Glade House)
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(第2日)
グレードハウスから2日目の宿泊先ポンポローナロッジ(Ponpolona Lodge)までは16Kmの道のりで歩行時間は約7時間。8時半(夏時間のため日本との時差4時間)にグレードハウスを出発し朝靄の中をクリントン川の上流に向かって進んだ。途中所々に脇道にそれて滝、湿地など見所ががあるが脇道に入る場合は後から来るガイドに知らせるためバッグを道脇において行くのがルール。
ランチ用の小屋ではガイドが温かい飲み物を準備してくれた。コーヒー、紅茶などの他、味噌スープもあって有り難かった。日本人はお得意さんなのでこんなサービスもあるようだ。サービスと言えば、英語の案内書の他に日本語のものが準備されている。各国語の案内書があるのかと思ったら、日本語だけが特別とのことであった。
ポンポローナロッジには15時半に到着。シャワーを浴びて衣類を洗濯し乾燥室に広げた。雨の多い土地なので、強力な乾燥室が備わっている。部屋は8人用の大部屋だったが、私たち二人だけなので個室同然だった。夕食までラウンジでくつろいだ。
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朝靄の中を出発
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清流クリントン川
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川原で休憩
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クリントン川に沿って歩く
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ガイドが温かい飲み物を準備
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ランチのおこぼれを狙って来た小鳥
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2日目の宿はポンポローナロッジ
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洗濯を済ませてラウンジでくつろぐ
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(第3日)
この日のコースはポンポローナロッジから、ミルフォードトラックのハイライトであるマッキンノン峠(Mackinnon Pass)を越えて、クインティンロッジ(Quintin Lodge)までの15Kmを約7時間で歩くコース。峠越えで歩行時間が長くなるので朝7時半出発の予定だったが、夏時間のため余りにも暗く、出発を15分遅らせた。それでも出発時にはヘッドランプが必要だった。
マッキンノン峠はミルフォードトラックの最高地点であり、ここには1,888年にこのルートを開拓したマッキンノンの労を讃える記念碑が建っている。この峠に一緒についたのは私たち夫婦とオーストラリア人、先頭ガイドの4名だった。マッキンノン峠小屋でランチをとりクインティンロッジを目指して山を下る。15時30分にクインティンロッジ到着。荷物をロッジにおいてサザーランド滝(Sutherland
Falls)を見に行った(往復5Km、70分)。
後詰めのガイドはアメリカ人母娘と一緒に歩いていたが、夕食時間(19時)までにロッジにたどり着けないと判断してマッキンノン峠でヘリコプターを呼んで娘だけ4日目の宿まで送り出し、母親と二人で下ってきた。夕食に遅れて19時15分にロッジに到着した。
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マッキンノン峠を目指して
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マッキンノン峠は目前
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マッキンノン記念碑
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峠からから振り返ったクリントン谷
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サザーンアルプスの山々
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サザーンアルプスの山々
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マッキンノン峠小屋でランチ
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小屋からの眺め
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クインティンロッジに向かって下る
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滝の落差は580mで世界第5位
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(第4日)
クインティンロッジからゴール地点のサンドフライポイント(Sandfly Point)までの21Kmを約7時間で歩く日。サンドフライポイントからの船の最終便に遅れないように早めの7時50分の出発となった。
15時10分にサンドフライポイントに到着。スタート地点から歩いた距離は33.5マイル(53.4Km、サザーランド滝への往復をを含めるとを58.4Km)。この辺りにはサンドフライという小さなブヨが沢山いるが、これに刺されると後々まで痛みとかゆみが残る。防虫スプレーは必携品だ。
16時発の船でミルフォードサウンド(Milford Sound)へ渡った。この日はミルフォードサウンドのマイターピークロッジ(Mitre Peak
Lodge)に宿泊。この宿には初日のバスに預けていた靴、着替えなどが届いており、シャワーを浴びて着替えができた。二日前にマッキンノン峠からヘリコプターで飛んできていたアメリカ人の娘とも合流して、最後の夕食。夕食後に完歩証の授与式が行われた。
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7時50分にロッジを出発
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吊り橋を渡る
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ジャイアント滝でランチ
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シダの茂るトラック
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ゴールはサンドフライポイント
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船でミルフォードサウンドへ
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夕食後の完歩証授与式
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完歩証
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(第5日)
この日はミルフォードサウンド(Milford Sound)のクルージングを楽しんだ後、出発点のクインズタウンまでバスで戻り解散となった。途中テアナウで休憩。ここでオーストラリア人の男性とガイドが下車した。オーストラリア人男性は翌日から2泊3日のルートバーントラックのガイド付きウオークに参加するとのことであった。
テアナウでは、これからミルフォードトラックに出掛ける153番目のグループと行き会った。バスは満員で50名のグループとのこと。この日(4月1日)から料金が安いローシーズンに入ったからだと納得した。私たちのバスを降りたガイドの一人は引き続いてこのグループのグガイドを務めるとのこと。また、50名の中に日本人は一人もいないのにガイドの一人が日本人女性であることにも驚いた。たくましい!
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マイターピーク
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クルージング
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滝のしぶきで虹
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滝の下へ
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