電子申告への道
確定申告をされているみなさん、毎年どのように書類を作成されいますでしょうか。普通は、申告書に手書きで書くのでしょうが、最近は国税局のホームページで申告書を作成し、印刷したものを提出できるようになっています。さらに、インターネットを使って電子的に提出(電子申告)する方法もあります。私は今回電子申告にチャレンジしたので、その様子を少し紹介したいと思います。興味があってやってみたいと思っている方(はたしているのでしょうか?)の参考になれば幸いです。最初にお断りしておきますが、私は国税局のまわしものではありませんし、税理関係の資格を持っているわけでもありませんので、本ページの内容が間違っていても責任をとれませんので悪しからず。
今のところ、電子申告をしてもなんのメリットもありませんが、電子申告による税控除も検討されているようで、是非今のうちにトライしてみてはいかがでしょうか。
1.大きな流れ
全体の流れは次のような感じです。
国税局ホームページで確定申告書を作成 ↓ 電子申告用のデータに変換 ↓ 電子署名をして送信
全体の流れは比較的簡単ですが、この前準備がそれなりに大変でした。
2.国税局ホームページでの確定申告書の作成
はじめに、国税局ホームページでの確定申告作成について簡単にご紹介します。(これは、電子申告に利用できますが、電子申告そのものではありません。)東京国税局のホームページの[確定申告コーナー]⇒[確定申告書等作成コーナー]に、必要な事項を入力するだけで、確定申告の書類を作成できるページがあります。
これは便利ですので、まだ使ったことがない方は是非チャレンジしてみてください。操作の流れはおおよそ次のような感じです。
- 確定申告書類に書き入れる事項や数字を入力する。
- 終わったら、自宅で印刷する。(通常の提出書類が印刷できる)
- 印刷されたものを、税務署等へ提出する。
特別なソフトも必要なく、ホームページ上から書類を作成できるというところが非常に便利です。特徴は次の通りです。
- 作成途中で保存ができ、後から続きを行うことができる。
- 面倒な計算は自動的にやってくれる。
- 入力したくない項目は入力しなくてもよい。(印刷後、手書きで書き入れればよい。)
- これを作成しておけば、後で述べる電子申告に使える。(今回私はこの方法で申告した)
入力画面は、申告書そのものの形なので、一度申告をしたことがある方であれば、ほとんど違和感なく操作できるのではないでしょうか。是非お試しあれ(といっても来年ですか)。
3.電子申告(e-Tax)
上記の方法で作成した書類を税務署へ持参するか、郵送すれば申告は済むのですが、今回興味本位で電子申告を行ってみました。これはパソコンで作成した確定申告データを、インターネット経由で電子的に送信するものです。”もしかして、パソコン上で作成した書類をメールに添付して送るんじゃないの?”と思われるかもしれませんが、ちょっとわけが違います。メールによる添付では、書類を受け取った方(この場合は税務署)は次のような問題があります。
- 書類が本物かどうかわからない
- 送り主が本物かどうかわからない
永田議員の例もありますから、メールは信用できませんね。そこで、作成した書類が本人のものであることを証明するため、電子署名というものを行い改ざんできないようにします。そして、専用のソフトで送ります。(多分暗号化されていて、途中で覗くことはできない)
3.1 電子申告のための準備
電子申告(書類の作成、電子署名、送信など)そのものは、税務署から送られてくる専用のソフトウェアを使って簡単に行えますが、それまでの準備がやや手間かもしれません。その準備について説明します。
住民基本台帳カード(電子署名入り)を手に入れる
電子申告の送り主を証明するために、先にも述べたように電子署名というのが必要となります。電子署名は自分で勝手に作ってもだめで、信用できる機関にお墨付きをもらう必要があるのですが、われわれ一般人は役所に証明してもらう(公的個人認証サービスという)ことができます。これには、(悪名高き?)[住民基本台帳カード]が必要です。このカードは住民であることを証明してくれる名刺大のICカードで、市で発行(もちろん有料)してもらえますが、希望者はこのカードに電子署名のための情報を入れてもらうことができます。詳しくは、市役所のホームページなどをご参照ください。例えば八王子市役所(私は八王子市民なので)ですと、[八王子市役所のホームページ]⇒[暮らしのガイド]⇒[手続き]⇒[住民基本台帳ネットワーク]で参照することができます。
手に入れる方法としては、郵送や支所で申請し、後日市役所で発行してもらう方法と、市役所で申請発行をする方法があります。やや時間がかかりますが(約1時間)、その場で手に入れることができるのと、いずれにせよ市役所に行かなければならないことから、私は直接市役所へ行きました。
申請書に必要事項を書きます。カードは写真入りと写真なしを選べ、写真入りでは写真を添付する必要があります。私は写真入りを選び、写真は市役所の入り口にある写真機で撮影しました。また、申請書に電子署名を入れるかどうかを選択できます。今回はこれが目的なので、当然入れることにしました。このために、このあと若干やることが増えます。
申請して待っていると、係りの人に呼ばれて必要書類とカード、CDROM(公的個人認証サービス利用者クライアントソフトが入っている)を受け取りました。さらに、電子署名をカードからパソコンに読み出すときに使うパスワードを入れる作業をカウンターの端(案内ブースの脇)にある専用端末で行いました。
以上で市役所での手続きは終わりです。係りの人に、どのくらいの人が発行しているのか聞いてみたら、めったにいないとの返事でした。
ちなみに、市役所でもらったCDROMに入っているソフト(公的個人認証サービス利用者クライアントソフト)は、カードの情報を読み出したり、カードの情報を読み出すためのパスワードを変更したりするものでした。
国税局への電子申告開始申請
次に、国税局へ電子申告をするという届けをします。届けの用紙は簡単なもので、住所氏名程度を書いて税務所へ提出します。すると、忘れた頃(数週間後?)に申告のためのID(紙に印刷されたもの)と、電子申告のためのソフトウェアが入ったCDROM(e-Taxソフト)が送られてきます。
カードリーダの入手
もうひとつ忘れてはいけないことは、住民台帳カードから電子署名を読み出すためのカードリーダの入手です。ICカード用の専用リーダが必要ですが、結構たくさん出ているようで、WEBや市役所でもらえる資料の中に対応する装置のリストがあります。しかし、こんなものどこで売ってるのというのが疑問ですが、ネットでよければそれなりに扱っている店があるようです。また、私は新宿のYカメラへ行ったところ、季節柄なのか片隅に(メモリカードリーダなどと一緒に)陳列してあり、それを購入することができました。そんなに何度も使うものではないですので、安いもので大丈夫だと思います。
3.2 電子申告ソフトによる申告
それでは、実際に申告の作業について説明したいと思います。もちろん、国税局から送られてきたソフト(e-Taxソフト)はインストールしておきます。
申告書の作成
電子申告ソフト(e-Taxソフト)で申告書を作成できるらしいのですが、私は今回、前に述べた国税局のWEBページから確定申告書類を作成できるシステム(確定申告書作成コーナー)を使い、申告書を作りました。印刷して中身を確かめることができるので、最初はこの方法がいいのではないかと思います。そして、作成したデータをPC上に保存しておきます。超個人的情報ですから、外部に漏れないよう十分に気をつけてください。
申告書データを電子データに変換
国税庁のWEBページで作成した申告書のデータを保存する際、印刷・保存をする画面に[電子申告用データの作成]というボタンがあります。これを使って、電子申告用データとして保存しておきます。
申告ソフト(e-Taxソフト)上での作業
申告ソフト(e-Taxソフト)を起動します。
最初に手順が表示されますし、左側のメニューでいつでも手順を参照することができますので、それをよく見て作業を行ってください。ただし、わかりやすいかどうかといわれると・・・。
実際の申告に先立ち、まず利用者ファイルを作成して、さらに国税局のシステムに登録します。このとき、国税局から送られてきたIDが必要になります。これは1度やればOKで、ソフトを起動するたびにやる必要はありません。
次に、新規に申告書を作成します。そして、この申告書に、先に説明した方法で作成した申告書のデータを読み込ませます。申告書はこれで完成。
次に、この申告書に電子署名をします。といっても特別な操作は必要なく、メニューから電子署名を選んで、指示通りに操作すればOK。
最後に、電子署名したデータを国税局に送信します。これも送信ボタン1つで作業終了です。
申告ソフトの中にメッセージボックスというのがあり、ここに受け取りのメッセージ等が保存されます。
3.3 後処理
電子申告をしたのですが、書類は送られたものの、添付書類までは送ってくれません。結局、添付書類は別に提出する必要があります。電子申告をすると、メッセージボックスの中に「送付書」書類があります。これを印刷しこれに必要な書類を添付して、税務署に送るか、持参します。
なんだ、パソコンで全部終わるかとおもったら、結局1部郵送することになってしまいました。まあ、自己満足のためにやったわけですから、仕方ありません。
4.終わりに
いかがでしたでしょうか。なんだかやってみたい気になってきましたか?まだやったことがある人は少数だと思いますので、パイオニア気分は十分に味わえるのではないかと思います。しかし、次にできるのは来年ですから、その頃にはすっかり忘れてしまっているかもしれませんね。かく言う私も昨年、来年こそはやってみようと思いながら、直前まですっかり忘れていて、間に合うかなと思いながらトライしてみたわけです。やってみたら意外とすんなりいったので、ぜひ興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。但し、パソコンのセキュリティだけは十分にチェックしてください。