中国古代国家「殷墟」と
「洛陽周辺の史跡」を訪ねて

                         コウ
(2009・6・13〜17)          内海 斅 一
                                 
 世界遺産「殷墟(インキョ)」概要

 殷は(別名商)紀元前1600年頃から1050年に「西周」に滅ぼされるまで約400年間栄えた国である。殷は「夏(カ)」を滅ぼした後に成立した国家であることが史記に記述されているが、「夏の国」の遺跡は確定的には発見されてないので、「国家」の定義に適合している国家は殷であり、世界最古の国家である。
 河南省安陽市にある殷墟は数度の発掘調査で、竪穴式住居跡、多数の陵墓、甲骨、青銅器などが見つかっている、殷王の墓は大型の地下墳墓で王の棺の周囲には、青銅器、武具、武器とともに、1178体の人骨、117頭の馬骨が出土、これは殷王の葬送儀式の生け贄と推定されている。
 発見された青銅器は、3000年前とは思えないほど精巧であり、工房、鋳造時の陶製型も発見されている。殷墟宮殿区の中で盗掘をまぬがれた王室墓があり深さ8mの底部に造られた大型木郭からは1928点もの青銅器、玉石器、骨器、陶器、青銅製の礼楽器、銅鏡、トルコ石、象牙杯、殉死者の人骨16体、犬6頭の骨とともに被葬者が身にまとっていたとみられる彫刻玉器、貝器や「婦好」という名が明記されていたことから、22代殷王武丁の配偶者の1人であるとみられている。

殷王朝と甲骨文字
 紙は70年ごろに中国の官僚「明倫」によって発明されたと言われているが、文字は書かれなければ役に立たないため、エジプトなどでは、石や羊の皮に書かれたようであるが、殷墟では亀甲や獣骨の表面に刻まれた文字で、祭祀や耕作、軍事行動など国家の決定を伝える重要な手段であった。19世紀頃に盗掘などで市中にでて「マラリアの特効薬・龍の骨」と称して売られていたが、この龍の骨の存在が学者達に知られ、20世紀に入って中国の学者羅振玉、王国維らによって研究され約3000の甲骨文字の解読に成功、「司馬遷の史記」に記述された殷王朝の系図にある王の名前にほぼ一致していたため実在が裏付けられた。殷王朝の領土は黄河流域とその周辺であり黄河文明を継承してきたものであると言われている。

        殷嘘写真

           殷嘘王墓全景                  青銅器
          

          「婦好」と見られる人骨             殉死者人骨と青銅器
           

              甲骨文字                   甲骨文字「乳」の原型 
          


 世界遺産「龍門石窟」概要

 洛陽市街地の南14km伊水の両岸の岩山に刻まれた仏教石窟で、中国3大名窟の一つである。伊水をはさんで龍門山と香山の南北1km範囲にわたる硬い石灰岩の山肌に刻まれた大小10万体の石仏は、魏、北斎、隋、唐、北宋まで約400年間の造像活動でできたものであると言われているが、6割が唐の時代のものである。
 なかでも奉先寺洞の盧舎那仏は龍門石窟最大の座大仏である。唐代の塑像で高さ17m、周囲には菩薩、天王、力士などの彫像が並んでいる。
 盧舎那仏のモデルは則天武后と言われている、3代皇帝高宗の皇后になったが、高宗の死後自ら皇帝の座につき史上初の女性皇帝になった。
 高宗の父2代皇帝太宗の死後、尼になっていたところを高宗が後宮に引き入れたとも言われている。皇帝になった則天武功は、人材登用、新しい文字の制定など大きな功績を残したが、密告制度などの恐怖政治も行なった。

     龍門石窟写真

         奉先寺洞の盧舎那仏              天王、力士などの彫像
        


 白馬寺概要

 中国最古の仏教寺院で、天竺から2人の高僧が白馬に経文を積んでやってきたところから白馬寺と呼ばれるようになったと言われている。
 山門の前には白馬の像が立ち門をくぐると天竺の僧の墓がある。境内には、天王殿、大仏殿、大雄殿といった伝統的四合院形式による建築物がたたずみ歴史を感じさせてくれる。

      白馬寺写真

            白馬寺正面                  釈迦と高僧像
        

 世界遺産少林寺概要

 北魏孝文帝が跋陀禅師のために495年に創建され、527年インド僧達磨が禅宗を開き始祖となり禅宗発祥の地となった。
 隋、唐、明、清の時代多いに繁栄したと言われている、敷地は広く山門、方丈、千仏殿などの建物がある。唐代の頃から少林寺の僧徒は護身のため武術を習い始め唐の太宗の時、太宗の身の安全を守ったことから、少林寺の武術は広く知られるようになった。現在は小林拳の本家本元として世界から武術の修行にくる人で隆盛ぶりを誇っている。

      少林寺写真

       少林寺武術ショウ                     武術僧像
        

 上記の外に奇岩、峡流美で有名な雲台山観光、天安門、鳥の巣、王府井などの北京市街観光と駆け足の5日間であった。
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