北 欧 旅 日 記 
(その5)


M I (自治会員の方です)



6月2 1日(火)
 6時起床。曇り空だが、ぐっすり寝たので目覚めは快適。 室外へ出たら、車掌が各部屋をノックして起こしている。私を見て「グッモーニン」 と声をかけてくれたので「グットモーニング」と言ったら、微笑んで、 オスロへはあと3 0分位で着くと英語で言ってくれた。
 7時オスロ着。お馴染みの駅のレストランへ直行。通勤客や旅行者で混んでいる。 朝食券利用者は、トレーに1セットになっているので、量が多い。 昨夜「赤ひげ」で沢山食べたせいで、あまりお腹も空かないが、時間があるので 夫と昨日の数々の感動したことなどを話しながら、2人とも食後のコーヒーまで、 頂いてしまった。
 小雨だが、満腹だしあの森も通りたかったので、ホテルまで歩く。 都心の中とは思えないほど静かな森の小径を、雨もまた楽しとのんびり歩いていたら、 王宮の方に向かう通勤の人達が、足早に通り過ぎて行った。
 8時3 0分ホテル着。部屋はきれいに掃除されて、荷物は所定の場所に置いである。 主婦なる私には、こんな当り前のことがとても嬉しい。
 暫く部屋で寛いで、1 1時頃散歩がてら市内見物と思い外に出たら、雨なので 取り敢えずメンズショップに入る。長い留守で何かと、不便を感じているだろう 息子に、メイドイン・ノルウェーのスポーツシャツをと思ったが、似合いそうな 色が無い。折しもサッカーでこの国が湧きに湧いていることでもあり、MC GORDON のシャツの白い襟と緑に赤と白の太い縞のが似合いそうなので、それを買う。 NKデパートに入ったら手袋売り場に、この国ならではの、裏に羊の毛が付いた 手縫いの皮手袋を見つけた。少し分厚いが、毎年霜焼けで困っている私には、 お誂えむきと思い、手を入れたら大きい。夫はバックスキンのカジュアルなのをはめてみたがやはり大きい。年配の女店員さんが、小振りのを出してくれた。 2人ともピッタリだったので2対を買う。有名デパートだが、簡単に紙袋に入れて、 ソフトな笑顔で渡してくれた。
 少しお腹が空いたので、グランドホテルのレストランにて、コーヒーとケーキを オーダー。たっぷり盛られた生クリームのケーキは、舌に蕩けて濃い目のコーヒー にとてもよく合う。当ホテルは我が国の帝国ホテルクラスだが、レストランはバイキング形式で気軽に 誰でも入れる。オスロ滞在の最後の明日はこのホテルにしようと、帰りにフロントに寄り、夫が 応対の若い男性に話をしたら、軽装の私達を見て、冷かしと思ったのか、余りにも 高い料金なので諦めて、ひとまず滞在のホテルへ戻る。
 1 5時にホテルに着く。荷物やパンフレットの整理をして、1 7時過ぎに 雨のなかを明日のホテルを取って貰おうと、オスロ港前のインフォメーションへ、 1 7時3 0分頃入る。すぐ応対してくれた若い係員は、何箇所か電話をかけてくれたが、 なかなか取れない。受話器を相手にこちらの事情を説明している顔色は、曇ったり、晴れたり。3 0分位経ったろうか、爽やかな笑顔でOKと私達に指で合図してくれた。 地図を出して教えてくれたホテルは、何と、さっきのグランドホテルだ。 希望のホテルなのに、宿泊料は先程の半額で2人ともびっくり。 シャツターを閉める音がして、案内表示を見たら、1 8時までとある。 終了時間も気にせず、探して下さった係員の方に、丁寧にお礼を言う。 守衛さんが、終了の看板を出して、私達に笑顔で「バァイ」と手を振ってくれた。 このインフォメーションには、何度来たことか、その都度お世話になった。 数日前、夫がいろいろ尋ねた時にやっと話が通じて、笑顔で握手をしてくれた 中年の責任者のお陰で、事が足りた時もほっとした。ノルディツクセーターのユニホームが、職員達にとても良く似合っていたのが 印象的だった。
 雨が強くなってきたが、心配していたホテルが決まり、2人とも心は晴天。 雨もまた良きかなと、オスロ中央駅前の商店街に寄ったら、1 8時で閉める店が 殆どの中で、大きなセーターショップが開いていた。素敵なセーターが、陳列しであるのに引かれて入ったが、お客は誰もいない。
 女の店員さんが2人だけで商品の整理をしている。専門店なので品数は豊富だ。 「これだけあるのだから私のサイズに合うのがあるかもね」と夫に話していたら、 中年の店員さんが、聞き付けて上手な日本語で話しかけてきたのでピックリした。 こちらの好みを言ったら、Sサイズのカーディガンを出し、私の肩にかけてくれて、 「ミラーヲミテクダサイ」と鏡のある所へ案内した。 ハーフコート程大きかったが、色やデザインがシックで北欧の模様も気に入った。 襟元に、V 0 S Sと書いて蔽め込んであるバッジを指して「コレハヴォスデツクラレマシタ」と、ニット工房のことを説明してくれた。

 −− ノルディクのセーター工房訪い行きて「花嫁の信頼」模様目を引く −−

昨日立ち寄った、ゴシック造りの教会を、着る度に思い出す事が出来るので、 それを買い求めた。免税証明書の店名の下に自分のサインをしながら、「 2, 0 0 0エンクライ カエリマス」とのこと。この人は店長だった。
 思いがけない買い物の袋を大事に抱えて、お腹も空いてきたので、明日泊まる グランドホテルのレストランへ寄る。時分どきなので混んでいる。日変りメニューのバイキングで、何にしょうかと 迷うのも楽しい。はじめての料理が殆どの中から数品えらんで、トレーに乗せる。 グリンピースの煮たのはあっさりした塩味。大きめに切ったキャベツの水煮。 (北欧ではキャベツが無いのかと思っていた。フライ等には、粗めに切った生の 白菜が添えてあるので、今この水煮を見て、こういう風に料理するのかと納得。) 肉料理の味も、ビールに良く合う。食後のコーヒーとケーキも美味しく、我ながらよく入ったと驚く。 雨は止まないが、日中のように明るいので、1 0分位歩いて、2 0時頃ホテルへ戻る。 今日も、心暖まる人との触れ合いがあり、楽しく終わる。



6月2 2日(水)
 7時3 0分起床。快晴。
 5日間滞在した「IMI」ホテルでの最後の朝食を摂る。
いろいろ少しづつ取り合わせて大皿に盛り、2人で今日の予定などを話しながら、 ゆっくり食べていたら、「4人ならば電車で行くより、タクシーのほうがやすいね」 と後ろの方から聞こえてきた。混んいたので、振り返りはしなかっが、 当ホテルで、はじめて聞いた日本人の話し声だ。何処かで会えると思い、お腹も一杯になったので、食堂を出る。9時3 0分チェックアウトをして、高く澄み渡る青空のもと、少し多くなった荷物を 2人で持ちながら、朝な夕な通り慣れた王宮の森の小径をおしみつつ歩き、 地下鉄の駅へ。
 この旅で初めて地下鉄に乗り、セントラルステーションへ。 荷物を駅のコインロッカーに入れて、オスロカードを2枚買う。(このカドは市営の所なら何処でも使える1日間有効なもの) 駅前から市電に乗り、フログネル公園へ向かう。市街の中をゆっくり通過する。街の光景を楽しんでいたら、何となく見慣れた所を 通るので暫く眺めていると、滞在したホテルの近くのSASホテルが見えてきた。 老紳士が案内してくれた「IMI」ホテルまでの大通りも見えてきた。 その後、会うことが出来なかったが、紳士の御親切と穏やかな笑顔は忘れ難い。2 0分位で大彫刻群のあるフログネル公園に着く。
121体のモノリッチ 正面入り口からの立派な菩提樹の緑の並木、人造湖、そしてブロンズ像が陽に輝く。 彫刻家ヴィーゲランの作品で、胎児から老人までの数は650体 以上あるという。躍動する若者像、滅入いりそうな死にいたる像など、 大公園に人生の縮図が展開されている。私達には少し寒いが、地元の人達は、半袖やノースリープで、散策やジョギングを 楽しんでいる。1時間近く散策しながら写真をとる。余りに広いので、だんだん暑くなり、121体の老若男女が刻まれているという 塔の前で一休みしていたら、「おはようございます」と6 0才代位の日本の人に 声をかられた。練馬から4人で来たと言う。「今朝I M Iホテルで見かけましたよ」と言われて、 食堂で日本語が聞こえたのはこの人達だったのだ。昨日着いたばかりで、2 0日間位の旅程とのこと。
ノールカップはどうでしたかと聞かれた。残念ながら雨で真夜中の太陽は見れなかったので、皆さんは見れますように。 お元気で良い旅をと挨拶を交わして別れる。
 オスロに一週間滞在したおかげで、今迄全く知らなかったヴィーゲランという人の 彫刻も見ることが出来、また新しい発見をした。フログネル公園を後にして、1 1時3 0分頃、市電に乗ろうとしたら、さっきの4人組に会う。「タクシーの方が 安いと思ったけど」と言いながら私達と行き先の違う市電に乗り込んだ。1 2時近くセントラルステーションにて下車。
 駅前の噴水パークのベンチで、軽い昼食を摂る。水飛沫が陽射しに輝いて 大きく小さく回っている。時折私達の所まで届いて心地よい。 駅舎の温度計が2 6度を示している。一休みしたので、オスロで現存する最も古いアーケシュフース城へと歩む。 途中で道が分からず、港の方から大きな荷物を肩に掛けた背の高い学生風の人が 来たので、地図を見せて尋ねたら、ドサっと荷物を下ろして、夫を見下ろしながら、 丁寧に教えてくれた。お礼を言ったら、英語で「どうぞ良い旅を」と 爽やかな笑顔で手を振ってくれた。
 1 5分位でアーケシュフース城に着く。オスロ港を見守るように建っていた。 城壁内にある、レジスタンスに関するノルウェー抵抗運動博物館に入る。 受付けでオスロカードに時間をいれてもらう。館内は薄暗く展示物も黒っぽいのではっきり見えない。大きいのは戦闘機や大砲、小さいのは細いワイヤーで編んだ防弾用の胴着など。 実物大の負傷兵の人形も生生しく展示してある。順路どうりに見て外へ出たら 赤い屋根に白い壁の建物が並んでいて、兵舎なのだろうか陽射しに輝き、とても 眩しい。
ヴィーゲラン美術館 戦争はいつの時代も嫌な物だと滅入った気持ちで見ていたので、外の風景にホット する。建物の前に若い衛兵さんが、不動の姿勢で人形のような顔をして真正面を 見ている。日本語で「一緒に写真を1枚お願いします」と言ったら、ほんの一瞬 ニコッとした。夫が遠慮して遠くからパチリ。「サンキュー」と会釈をしたら、 笑顔を見せてくれた。出来た写真は2人とも小さく写っていたが、貴重な1枚だ。 衛兵が立っているのは、ここが旧王宮で、今は王家の墓があるからとのこと。 広場には裸体の彫刻像が立っていた。王家の墓と抵抗運動博物館そして裸体の彫刻の取り合わせに、さすが北欧の国だと 夫は感心していた。
 この建物の裏に小高い丘がある。オスロ港が見渡せる。白い雲と、青い海との 調和がソフトに広がるのをバックに、雲間から見えてきた飛行機も入れて夫を 写したら、逆光で良く写らなかったのが残念。来た道とは違う賑やかな通りを、駅に向かつて歩く。気持がだんだん落ち着いてきた。
 中央駅のロッカーから荷物を取り、駅前に出たら、広場で携帯用の椅子に掛けて、 編物をしている初老の女性が目に止まった。側に行って暫く編み棒の動く手を 見ていた。柄は、私が今着ているサマーセーターと同じ。そっと声を掛けたら、 手を休めて見上てくれた顔はとても優しい。私は自分のセーターを指したら、 微笑んで模様が同じとゼスチァーで答えてくれた。ノルウェ一語が分からなくても 会話が出来て、オスロ最後の日にまたひとつ思い出がふえた。
 荷物が多いのでタクシーに乗った。このタクシーの運転手さんが、東南アジア系の 顔付きなので、夫がカタコトの英語で話しかけた。バングラデッシュから家族全員で オスロに来て働いているとのこと。どこの国の都会もだんだん、いろいろな国の 人が住み、働くところになったのだなとまた、一つ勉強になった。
 1 5時2 0分頃、グランドホテルに着く。部屋のドアーの鍵はガッシリした作りに なっている。室内の家具や調度品の立派なこと、メモ用紙としては勿体ない上質紙が デスクの上に置いである。2人では広すぎる部屋の真ん中に、荷物を置いて、隣接するチョコレートショップへ。 滞在中に何度かこの店の前を通り、最後の日に入る予定にしていた。荷物を最小限にしようと小さめのを数箱買ったら、女性の店主が私を子供と見たのか 板チョコを2枚サービスしてくれた( 1枚¥150位)。部屋にもどる。鍵の操作を覚えた夫は、ドアーをいとも簡単に開けてくれた。 荷物の整理をして、小さめの鞄に無理に押し込んだらファスナーが壊れてしまった。 夕食には未だ早いので、鞄を買いに出掛けた。
 街中の店を何軒か回ったが、なかなか手頃なのが見つからない。 やっとスーパーらしい店で見付かった。その店の商品にもいままで、 どこでも見た事のないワッペンのような物が、Tシャツにもソックス1枚にも ガッチリ付いている。店員に聞いたら、万引き防止とのこと。どこの国でも、悪い人がいるもので、グッドアイデアと感心する。 レジで万引き防止の金具を外してくれて、正札の約半額で買うことができた。 もう、バカンスのシーズンに入るのでバーゲンセールの時期なのだろう。
 1 8時、陽はまだまだ高いが、いつものバイキングのお店に入り夕食を取る。 ノルウェーの料理もこれで最後なので、種類を多く量を少なめにトレーに乗せて、 レジへ、それぞれ単価が違う、量が少ないため計算にならないらしく、 レジ嬢は2人分まとめて、とても安くしてくれた。何度となく、足を運んだ当店からのプレゼント。
 北欧2か国を2週間近く掛けて旅した色々なハプニングも、楽しい思い出と、 夫との会話は弾み、ビールもだいぶすすんだ。 1 9時過ぎ部屋へ戻り、買った鞄に 荷物を入れ、北欧の最後の夜を惜しみ、明日の朝が早いので、2 0時半頃就寝。



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